去る2月27日(月)、大本山増上寺慈雲閣におきまして、東京浄青第三回研修会を開催しました。
今回は、江戸古地図に精通され現在雑誌『浄土』で「江戸を歩く」シリーズを連載中の森清鑑先生と、ともに『浄土』の編集部員でありこの度小冊子『芝増上寺旧境内地二十万坪 念仏行脚』の編纂に携わられた芝組最勝院村田洋一上人、酉蓮社青木照憲上人の3名にご登壇いただき、「知っているようで知らない増上寺〜旧境内地20万坪に見る増上寺の魅力〜」と題してご講義を賜りました。
初めに森先生より、増上寺の地理的成立条件についてお話しいただきました。徳川家康公入府の際は荒れた湿地帯であった江戸の地が、家康公の天才的発想により大都市へと急速に整備される中、増上寺は東海道を通って侵入する外敵から江戸を守るために作られた砦の役割を果たしているとする森先生のお話は、実に面白く興味深いものでした。
次に村田上人より、家康公と浄土宗の関係についてお話しいただきました。天下統一を果たした家康公の大きな課題の一つが力を持つ宗教勢力をどう抑えるかということであり、そのために当時はまだ小さい浄土宗寺院であった増上寺を中心に関東十八檀林というヒエラルキーを組織し、民衆を統べる役所の代わりとしたという村田上人のお話に、なるほどと気付かされる思いでした。
最後に青木上人より、冊子『念仏行脚』を題材に増上寺念仏行脚の意義についてお話しいただきました。増上寺は戦乱の世を治めた家康公の平和を祈念する願いが込められた寺院であり、死してなお江戸の町を守るという家康公の強い意志を継ぐ増上寺境内地での念仏行脚は、世界平和を願う実践行であるとまとめていただきました。
東京浄青では大本山増上寺御忌大会において団参案内役を務めております。そのような中で、三人の先生方のお話しはいずれも大変興味深く、90分の講義があっという間に終わってしまい、もう少し時間があればともどかしい思いをされた方も多かったのではないでしょうか。
それを示すかのように、講義後の懇親会では会員間でも江戸と増上寺と念仏行脚の話で盛り上がっていた模様です。
参加された36名の会員の皆様、ありがとうございました。
またご講義いただきました三先生、及び毎回会場を提供いただいております大本山増上寺様に改めて御礼申し上げます。
広報 安孫子
第三回研修会ブログ用